孤独死現場にいながら、私は一人でないと感じる

もちろん大島さんにも、そして平出さんにも、“憂鬱な現場”はある。終わりが見えなかったり、自分たちが頑張っても依頼人から喜んでもらえなかったり。

それでも、一つの現場に区切りがつく頃には達成感をおぼえる。それが次に向かうモチベーションになる。

あんしんネットの社内の様子。収容したゴミを仕分けられるようになっている。
あんしんネットの社内の様子。収容した遺品などを仕分けられるようになっている。

「それにしても笹井さんも長いですよね。しかもいろんな現場に行っている」

連載7回目の現場で、平出さんにそう言われてうれしい気持ちになった。実は先日、アルバイトの大枝さんからも「去年の夏に行った現場、むちゃくちゃつらかったですよね!」と話しかけられ、思わず笑顔になってしまった。

あるゴミ屋敷の現場を一緒に数時間片付けたーーたったそれだけなのに、いつのまにかかけがえのない仲間だと感じている。

私は普段、一人で取材し、一人で原稿を書いている。だから仕事を通して仲間とつながれる感覚が新鮮なのかもしれない。ゴミ部屋にいる時、周囲の人と自分が同じ世界を見ていることがわかるのだ。孤独死現場にいながら、私は一人でないと感じるのだった。(続く。第9回は2月中に配信予定)

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