多くの富裕層と交流のある午堂登紀雄さんは、「富裕層の行動の中でも、コロナ禍であまり変化がないのが旅です」と指摘する。午堂さんご夫婦も起業家同士、リスク管理を徹底したうえで旅行や会食の機会を設けている。富裕層たちが旅行や人との出会いを重視する理由とは――。
目的はリフレッシュ
先日、雑誌の取材を受けた際、記者からこんな話を聞きました。
コロナ禍における富裕層の行動の変化としては、たとえば自宅にいる時間が長くなったことで投資を兼ねて現代アートを購入するとか、電車よりも車での移動が増えたため新車に買い替える行為などが見られた、という話です。
一方、それほど変化が見られない行動があります。それは「旅」です。
私の周囲の富裕層や起業家は、このコロナ禍においても自宅に引きこもることなく旅に出ています(さすがに海外はほとんどありませんが)。
その理由は、やはりリフレッシュです。
新しい発想が出てきやすくなる
旅に出て非日常の環境に置かれると、視点や視座が変わり新しい発想が出てきやすくなります。あるいは、普段考えることのないことを考えることができるとか、制約を取っ払って考えられるとか、日常の忙しさから解放されることで視野が広がるというメリットもあります。
未知の状況に遭遇し、異質なものに触れると気付くことがある。改めて自分が知っている世界や価値観と比較させられる。普段何気なく常識と考えていたことを疑うことができる。そこに新しい仮説が生まれることがあります。
そういえば私も、新しい事業アイデアや書籍の企画を思いつくのは、たとえば新幹線や飛行機に乗っているときとか、外を散歩しているといった場面が多いように思います。
移動距離と収入は比例関係にあると言われることもある通り、家と会社の往復だけでは得られないチャンスをももたらしてくれるのだと思います。
それだけでなく、長時間自宅にいるとストレスが溜まるという声をあちこちで聞きます。私たちが自然の中や太陽の下で活動したいというのは、おそらく人間の動物としての本能なのかもしれません。