ルールを守らない人をとかく非難し、攻撃する人がいます。芸能人や政治家の不倫が報道されるたびに反応する人もその一例。米国公認会計士の午堂登紀雄さんは、「正義をふりかざして人にルールを守らせようとするような人は、ビジネスで成功しない」と指摘します——。
ノートパソコンにイライラしている女性
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なぜ他人の不倫に対して怒るのか

ささいなことでイライラし、他人を攻撃する人が増えています。たとえば最近でも、自粛警察やマスク警察といったニュースが話題になりました。こういう人は他人や出来事に容易に精神状態を揺さぶられるため、悩みを抱えやすい性格と言えます。

動じないメンタルを獲得するために心掛けたい姿勢のひとつは、他人や物事を自分のモノサシだけで判断しないことです。

それには、「正しい・間違っている」「道徳的か否か」「モラルに反していないか」などという判断軸で見ないよう意識することです。なぜなら、それらの判断の根拠は自分固有のものであり、他人もそうとは限らないからです。

たとえば私や私の周囲にいる富裕層たちは他人の不倫には何の興味もないですが、芸能人や政治家の不倫のニュースを見て怒る人がいます。

彼らは「不倫をすべきではない」「公人は清廉潔白であるべし」と思っていて、自分の道徳観に合致しない言動をする人に腹が立つのです。結局彼らは自分の正しさを相手にも求めるから、そうでない人に腹が立つわけで、怒りっぽい人は実は自分の価値観を押し付けたいという傲慢な人間なのです。

正義を主張しても何も生み出さない

大事なのは、自分の正義を周囲が実現するべきだという思い込みを捨てることです。

正義なんて一人ひとり違いますし、そもそも客観的な正義などありません。10人いれば10通りの正義があり、ほとんどの場合は「自分にとって都合が良いこと」が正義なのですから。

にもかかわらず、ただ自分の正義と相手の正義をぶつけるだけでは永遠に分かり合うことはできず、最後は戦争です。現実にも、世界はそういう状況になっています。自分の正しさや正義を主張しても、不満や争い以外、何も生み出さないことがわかります。