情報強者は自らルールを作り、不利なルールを変える

海外の動きを見ると、それはより顕著です。アメリカも中国も、「それは国益にかなうかどうか」という視点で物事を捉えているので、より自分たちに有利なルールを作ろうとします。不利であれば、そのルールを変えようとロビー活動をします。

それを「ずるい」と考えるのか「戦略的」と考えるのか。交渉によって、より自分に有利なルールを作るのは、実はだれでもやっていることであり、正当な権利です。

企業も、自分に都合のいい土俵(競争ルール)を作ろうとします。ちょっと古いですが、かつてビデオのVHS陣営とベータ陣営が規格を巡って争ったのを覚えている人もいると思います。

就業規則も社内規程も、基本的にはその企業にとって有利なルールですが、従業員はそのルールを守らなければなりません。家庭でも「わが家のルール」があると思いますが、基本的には親のエゴで作られているものです。門限やお手伝いの決まりなど、子どもの頃はそれを「理不尽だ」と感じた人も少なくないでしょう。

ルールを従順に守り、守らない人を非難する人

しかし思考停止に陥っている人は、ルールを守ることに非常に忠実で従順です。彼らは、そのルールが場合によっては正しくないこともあるとか、自分に有利が不利かということは考えません。ルールの本質を考えないし、自らルールを作ろうとも変えようともしない。だから他人が作った他人に有利なルールを守らされてしまうのです。

ただひたすらルールを守ることが彼らにとっての正義なので、ルールを守らない人を見つけると我慢できず、いっせいに非難し、叩こうとします。

そのため、ネット上にはあちこちで炎上が起こっています。昔なら「やんちゃだなあ」とほほ笑ましくスルーしていたことでさえ大騒ぎになります。

道徳心やモラルが不要ということではなく、常識に外れたことを指して、ただ感情的に「非常識だ」「そんなことしちゃいけない」「道徳的にどうなのか」「不謹慎だ」「立場をわきまえろ」「言葉を選べ」などと騒ぐのではなく、「ほんとう?」と立ち止まって考える習慣をつけるのです。

私たち個人も発想を変え、他人が作ったルールにただ従うだけではなく、ルールや常識の本質を考え、本当に意味があるのかどうかをいちいち考えてみることです。

そうすれば、情報が錯綜するこのコロナ時代においても、軽やかに駆け抜けることができると思います。

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。