2021年1月にケニアへ渡り、2024年パリ五輪を目指す

プロになったことで、トレーニングも自由にできるようになった。10月には神野大地(セルソース)とともにスズキアスリートクラブの長野・富士見高原合宿に参加。藤原新ヘッドコーチの練習メニューをこなして、自信を深めている。

福田は学生時代に、「実業団をやめてケニアに行くなんて夢にも思わなかった」というが、時代はどんどん動いている。マラソンの世界記録(2010年当時は2時間5分42秒)はこの10年間で8度も更新され、2時間1分39秒まで短縮。日本記録も3度塗り替えられて、大迫傑、川内優輝、神野大地などは既存の実業団チームに所属せず、プロとして活動するようになった。

「日本にプロランナーは何人かいますけど、まだまだ職業としての確立は難しいですよね。大迫君くらいの実力とネームバリューがあればいいですけど、神野君も箱根駅伝の活躍が大きかったと思います。でも、今後はプロになる選手が増えてくるんじゃないでしょうか。大会の賞金が公開されているのは東京マラソンぐらいですが、海外レースの多くは、サイトで賞金が公開されています。日本は金銭的なことが不透明です。レースの出場料や賞金、スポンサーとの契約金も公開すればマラソンランナーになりたいという夢を持つ子供が増えるかもしれません」

マラソン大会を上空から撮影
写真=iStock.com/ZamoraA
※写真はイメージです

福田は12月6日の福岡国際マラソンに国内招待選手として出場する。さらに12月20日の防府読売マラソンにも招待選手として出場予定だ。両レースの参戦は川内優輝と同じ流れだ。キャリアと知名度では上の川内に連勝できれば名前を売るチャンスになるだろう。

「NN所属となったといってもまだチームとは一度も練習していません。福岡国際で自己ベストを出して、ケニアで本格的なマラソン練習をしたいと思っています。ベケレは38歳ですし、36歳のキプチョゲは40代だという噂もあります(笑)。キプチョゲは準備を大切にしているとスタッフから聞いていますし、いろいろと勉強していけば僕もまだまだ成長できる。1年で1分ずつくらい記録を伸ばして、3年以内に2時間6分台に行きたいと思っています。正直、大迫君が持つ日本記録(2時間5分29秒)はイメージできていません。でも、2時間6分台をマークできれば、次の扉が見えてくる。とにかく、プロとしてまわりを感動させられるような選手になりたいです」

福岡国際でNN所属としてのデビュー戦を終えた後は2021年1月にケニアへ渡り、2024年パリ五輪を目指して高速ランナーへと進化するつもりだ。

福田のような決断を下すのは簡単なことではない。なかには無謀だと笑う人がいるかもしれない。しかし、福田のチャレンジは日本陸上界の流れを変えるだけでなく、多くの人々を勇気づけてくれるだろう。

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