日本の住宅は貧弱、アメリカは不動産で一財産を築ける

——マイホームは人生でいちばん大きな買い物、なんていわれますが、そのわりに30年しかもたないなんて、ちょっとひどい話ですよね。

そうなんですよ。住宅を資産として見た場合、日本の住宅はあまりにも貧弱です。高度成長時代に生活の基礎インフラをおざなりにしてきたツケで、日本の住宅は粗悪なものばかりです。本当に残念としかいいようがありません。

特に戸建ての場合は、築40年を過ぎる頃には、ほとんど廃屋同然になってしまいます。そのため不動産を使った資産運用は難しいんですよね。住宅市場という点では、やはり欧米型のほうが圧倒的に優れています。

シカゴのダウンタウン
写真=iStock.com/JaySi
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アメリカの場合、家の造りが根本的に違っていて、築100年もの家でも、ごくふつう「現役」で使われています。むしろ、古い家をきちんと整備することで、買ったときより価値が上がることさえあります。

ですからアメリカ人にとって、最大の資産はやっぱりマイホームです。マイホームを買って資産価値が上がると、そこで生じた余剰部分を担保にまたローンが組めますから、もう一軒買って人に貸し出す、といった資産運用が可能です。ものすごいお金持ちでなくても不動産で一財産を成すことができるので、ごくふつうに会社員として働きながら、退職する頃には1億円や2億円の資産をもっているという人もざらにいます。

資産価値が下がらない物件選びのノウハウ

——現実的に国内で家を買う場合、どうやって選んだらいいんでしょう? 例えば、マンションのほうが手軽そうですが、資産価値としては一軒家のほうがいいですか?

まず、マンションか戸建てかで見ると、資産価値という点では圧倒的にマンションです。先ほど言ったように、戸建ての場合、一般的な日本の木造住宅はほんとうにもたないので、あっという間にダメになって、資産価値として最後は土地代ぐらいしか残らないと思っておいたほうがいいです。

ただし、マンションなら大丈夫、と太鼓判を押せるわけでもありません。日本のマンションは、断熱性のない窓ガラスをふつうに使っていたり、まともな断熱の施工すらなされてないことも多く、欧米の住宅市場の常識では考えられないほどスペックの低い物件が多いんです。アジア圏のなかで比べても、中国や韓国よりも平均的なレベルは低いでしょうね。

ですから、たとえマンションでも、転売して資産を大きくするといった使い方までは、ほぼ期待できません。最低限、自分が死ぬときまでは資産価値を維持できればおんと思ったほうがいいでしょう。