「絶望名人」カフカも4回恋をした

しかし、なかなか「うらみっこなし」にはなれない深い痛手もありますね。

「将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」これは『絶望名人カフカの人生論』(飛鳥新社)にある、作家フランツ・カフカの言葉。常に悩み、弱音を吐き、『変身』『審判』などの作品で悪夢を書き続けました。

それも発表する気はなく、全原稿の焼却を友人に頼んだのですが、カフカの死後、友人が遺言にそむいて次々に刊行したおかげで、20世紀を代表する作家に。

読者からは「心が沈んだときに暗すぎるカフカを読むと、なぜか勇気づけられる」「絶望感たっぷりなのに笑ってしまう」……と、救われたという声が多いそうです。

絶望ばかりしつつ、カフカはプラハの保険局で役職に就き、4回恋をして婚約者に500通も手紙を送りました。死因は結核で、自殺はしていません。

どん底まで落ちても、あせることはない。ボヤく場を見つけて、マイペースで、やれることをやっていけばいい。カフカを読んで、「なんだ、こんなんで生きていけるんだ」と気がラクになる人は、とても多いと思います。

うらみを抱えたままでも何だってできる

私もよく患者さんに「気持ちが打ちのめされたら打ちのめされたまま、落ち込んだら落ち込んだままでもいいんですよ」と言います。

和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)
和田秀樹『感情の整理学』(エクスナレッジ)

「うつむいて生きるのも悪くない、というくらいの気持ちになったほうがラクです。心の自然治癒力を信じて、自分をよくいたわって、生活のリズムだけは守っていってください」とアドバイスすることもあります。

うらみはやっかいですが、うらみつらみを抱えたままでも、なんだってできます。カフカを見習って、創作でも仕事でも恋でも、手当たり次第にやってみましょう。

ジョギングや筋トレなど「やっている間は頭がからっぽになる」運動も、気分転換に最高です。うらんでもいい。ただ、うらみから「離れる」時間を増やしましょう。

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