2019年12月、父の寿男氏(現会長)、母の千代乃氏(現名誉会長)が創業して育てたアートコーポレーションを引き継ぎ、代表取締役社長に就任した長男の寺田政登氏。電話番号を「0123」で統一して世間に浸透させるなど、両親はアイデアに溢れた経営者だった。「2世としてのプレッシャーもあった」という新社長は、どのような舵取りを見せるのか。自身が目指す会社像も含めて語ってもらった。
アートコーポレーション代表取締役社長 寺田政登氏
アートコーポレーション代表取締役社長 寺田政登氏

中3でパーマを当てて、引っ越しのアルバイト

アートコーポレーションは両親が創業しました。前身の寺田運輸の創業が1968年。その翌年に私が長男として生まれました。生まれたときは大阪在住でしたが、3歳のとき奈良の学園前というニュータウンの抽選に当選して引っ越しました。以来、大学卒業まで奈良県民です。

子どものころから両親は忙しく働いていました。学校から帰ると弟を連れて外でよく遊んでいました。遊び場も自然相手でお小遣いもほとんど使わなかったです。父と母がたまに家にいて一緒に食事をするときも仕事の話ばかり。聞いても理解できないので、「いい加減にしてくれ」と両親に言ったことがありました。

一方で、自分が将来、引っ越しの仕事をするだろうとも考えていました。男の子の夢はパイロットとか宇宙飛行士が相場でしたが、自分にそういう道はないものだと幼心に覚悟を決めていた気がします。