ストレスに耐えきれない人が昔より多くなっている

こういったストレス状況は学校でも会社でも起こりうることで、避けては通れない。

遠山高史『シン・サラリーマンの心療内科 心が折れた人はどう立ち直るか「コロナうつ」と闘う精神科医の現場報告』(プレジデント社)
遠山高史『シン・サラリーマンの心療内科 心が折れた人はどう立ち直るか「コロナうつ」と闘う精神科医の現場報告』(プレジデント社)

ただ、私のような戦後のどさくさの中で群れて育ったオールドボーイには、その多くが辛抱すれば何とかなりそうなのに、耐えきれない人が昔より多くなっているように思えてならない。

トノサマバッタには小ぶりで茶色いものと、大柄で優美な緑色のものがいる。

違う種と思われていたがDNA上は変わらず、育った環境によって違いが生じるのである。餌の少ないところで群れて育つと小ぶりだが高く遠くまで飛翔できる茶色いバッタとなる。

餌が豊富で群れずに育つと、大柄で美しく優美な緑のバッタとなるが飛翔力は弱く、高く飛べない。

さて、私もこれまで人並みにさまざまなストレスと戦ってきた。

中学時代のクラスには、時に教師の胸倉まで掴み、番長風を吹かすやくざの息子、知的障害のある子の背中にバカと絵の具で描きつける情性を欠く子供、貧しい生徒を不潔なごみ扱いする神経質な女の子、その他の無関心派も含めて総勢60人いた。

教師は60人もの子供を一人で統治できるわけがないと諦めていたか、子供のほうを見ず、黒板のほうだけ向いて授業していた。

なぜか私という学級委員は番長の暴走を抑止するため筋トレに励み、いじめっ子の牽制のためいじめられっ子の横に座るなどして苦心していたものである。

大人になって30年も中間管理職をやり、似たようなことは多々あったが何とかやってこられた。

私が心理的飛翔力の強い「茶色のバッタ」だったからだろう。飛翔とは逃げることではない。

自分の立ち位置を能動的に変え、新しい局面を作り出すことである。そうした飛翔力を培う機能を日本社会は失っていやしないか。

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