秋山真之の「奇行」エピソードは、兄好古に比べても格段に多い。

日露戦争中、東郷平八郎大将率いる連合艦隊旗艦「三笠」上だけでも――。

バルチック艦隊があらわれる直前、東郷が「三笠」の司令長官室に各司令官と参謀長らを招集したときには、みなが緊張しているさなか、突然、真之はテーブルの皿に盛られたリンゴにひょいと手を出して、いきなりかじりはじめた。だが本人はリンゴを食べていることすら忘れているような顔つきだった。同席した者は「しようがないヤツだ」「こいつ、とうとうアタマにきたか」とあきれた。