睡眠時間が短くなっても日中の活動に支障がなければOK

「20~30代のころは、8時間連続してぐっすり眠れたのに、今はとぎれとぎれに6時間睡眠なんです」という高齢者の方もいますが、それは自然な変化によるものだということが、よく分かります。

たとえ睡眠時間が5時間でも、6時間でも、昼間の活動に支障がなければひとまず睡眠がとれていると考えるべきでしょう。

「寝つけなくてつらい」「早朝に目が覚めてしまう」という場合は、眠くなるまで寝床に入らず、朝はダラダラと床で過ごさずに、早めに起床することを一度実践してみてください。

「睡眠時間が短く済むなんて得した」とポジティブにとらえて、早朝の散歩や読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。朝からしっかり活動すれば、夜は自然な眠気が現れて寝つきがよくなり、良質な睡眠が得られるので、一石二鳥です。

「眠れる薬」で老化が進む?

このとき「眠れないんです」と病院で訴えると、睡眠薬や抗不安薬が処方されがちなのですが、前述のような「慎重な問診」や「生活改善」をする前に、安易に薬に頼ることはおすすめできません。

私も過去には「眠れない」と訴える患者さんへ安定剤や睡眠薬を処方していた時代もありました。しかし、服用した患者さんがいつもぼんやりとしたままだったり、急に老け込んでしまったりしたケースがあったために、思い切って200人以上の患者さんの安定剤の処方を中止し、生活改善の指導を行うことにしました。

中には、突然目つきが変わって「薬を出して! 先生のイジワル!」とこちらを責めてくる方もいました。おそらく、睡眠薬の依存症になっていたのでしょう。その方は何年も通ってくれていた患者さんでしたが、結局最後までご納得いただけず、他院へ転院してしまいました。