『古典に学ぶ経営術三十六計』舩橋晴雄著 ウェッジ

世阿弥の『風姿花伝』、本居宣長の『うひ山ぶみ』など、日本の古典から現代の経営に応用できる一節を紹介する。ビジネスの成否は、戦略より人を統率する力によるものだと語る著者が、長きにわたり読み継がれた書物に見られる普遍的なリーダーシップをわかりやすく解説する。

経営書というと欧米出自のものが多いが、日本人にはどうしてもなじまない部分があると思う。それに比べ、ここに引用された教えは、日本独自の歴史の中で語り継がれた古典にこそ今を生きるわれわれも影響を受けているのだと、非常に共感できた。住友本家に伝わる法書も登場する本書は、日本経済の故郷を訪ねるような気持ちで紐解いてほしい貴重な一冊である。