神教と多神教、砂漠気候とモンスーン気候、狩猟民族と農耕民族。日本人とユダヤ人はあらゆる点で対照的な民族です。東京大学大学院での研究生活の傍らで読み、衝撃を受けました。
たとえば彼らはユダヤ教の戒律を固く守ります。戒律とは唯一無二の神との契約だからです。ユダヤ人社会の根底にはそうした契約の概念が息づいている。一方、日本人は「水と安全はタダだと思っている」ように契約の概念がきわめて希薄です。
大学院修了後、一年間、ヘブライ大学に留学しました。ユダヤ人と直接話すことで、本書の主張の正しさを確認しました。民族が異なれば思想もまったく異なる。海外で仕事をするうえで常に心に留めています。