新型コロナウイルスの影響で「夜の街」が苦境に立たされる中、徹底したコロナ対策を行う高級クラブが銀座にある。「クラブニュー花」の高梨凛ママは、「医師を常駐させ、ホステス、スタッフ、客全員にPCR検査できる体制を整えている。『夜の街』だけが批判されるのはおかしい」という——。
高梨凛ママ(左)と医師
撮影=長谷川智紀

「銀座が持っているパワーはコロナ後の今こそ必要」

緊急事態宣言解除から3カ月。政府の「新しい生活様式」は少しずつ広がっているが、依然として「夜の街」は厳しい状況にある。特に、歌舞伎町や六本木などの繁華街では、ホストクラブや風俗店で勤務するスタッフにPCR検査の陽性反応が出る事例が相次いだことから、依然客足は遠のいている。

そんな「夜の街」のひとつの銀座で、徹底的なコロナ対策をうたう店舗がある。

「こんな厳しい状況だからと銀座の火を消すわけにはいきません。これまで、銀座の街では政治家や経営者など、多くの政財界人の方が夜の交流によって飛躍的な成長を遂げている姿を見てきました。それを振り返れば、銀座が持っているパワーはコロナ後の今こそ必要です」

そう語るのは、創業54年の銀座の高級クラブ「クラブニュー花」で働く高梨凛ママだ。この老舗中の老舗に、いま最大の危機が訪れている。

「コロナで客足が遠のいたのはどのお店も共通。何よりつらいのが同業者の廃業です。なんとか食い止められないかという問題意識から今回の決定に至りました」

この店では、20時から24時までの営業時間中に医師を常駐させ、ホステス、スタッフ、店を訪れる客全員に毎日PCR検査できる体制を整えているという。

「『ここまですれば安心』を追求した結果、お店に医師を常駐させるしかない、という決断に至りました。お客さまからは万が一のことがあっても安心だね、とご好評をいただいております」

なぜ凛ママはここまで徹底的なコロナ対策を行うのか。