四大法律事務所からも声がかかっていたが…
日本には、いわゆる「四大法律事務所」が存在します。西村あさひ法律事務所、森・濱田松本法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所です。これにTMI総合法律事務所を加えて五大法律事務所と呼ばれることもあります。
私は合格率4%の予備試験経由の司法試験合格者だったため、これらの法律事務所からも声がかかりました。しかし、最終的には四大法律事務所ではなく、外資系のポールヘイスティングス法律事務所にジョインしました。この選択について、どうしてなのか気になっている方もいらっしゃるみたいです。
私が今の法律事務所を選んだ決め手は、能力だけでなく人間性を含めて私のことを1人の人間として評価してくれた事務所トップの先生の存在でした。あくまで私自身の経験にすぎませんが、就職活動の過程で四大法律事務所に訪問した際、私の個性を見つめるというよりは、「予備試験合格者」や「ロシア国籍」、「女性」という属性だけで私のことを評価しているように思われたのです。
また、四大法律事務所はたしかに弁護士数ではトップですが、待遇や就労条件、労働環境が他の事務所と比べて絶対的に優れているというわけではありません。事務所にもよりますが、個人での案件受任やメディア出演についての制限が厳しかったりもします。
弁護士プラスアルファの価値を創造していくためにはより大きな活動の自由が必要でしたし、ましてやこのようにプレジデントオンラインで記事を書くことができているのも制約の少ない現在の所属事務所のおかげです。仕事内容としても、日本と世界各国を跨ぐ企業法務の仕事の現場に、1年目から重要な戦力として携わることができているので、その選択を後悔したことはありません。
日本の明るい未来を目指して
私が生まれて以来、日本は、「バブル崩壊」「失われた30年」「人口減少社会」といったネガティブワードに覆われてきました。アジアにおいては中国の存在感がどんどん大きくなり、相対的に日本の存在感が薄くなっているような感覚を抱く人もいます。そんな状況に加えられた、新型コロナウイルスによる追撃。先行きの見えない社会に、絶望しかけている方も多いのではないかと思います。
しかし、日本は世界的に見て、とても魅力的な国です。生活していく上での安全さや快適さはもちろん、個人の頑張りが報われる資本主義社会で、比較的まともな法律に裏付けられた「正義」が実現される国です。
私は、そんなすてきな国、大好きな人々が多く住んでいる日本に明るい未来をもたらす一助となりたいです。新型コロナウイルスの影響でグローバリゼーションに歯止めがかかったようにも思えますが、私たちには遠隔地を結びつける高度の情報通信技術もあります。
人口が減少して国内マーケットが縮小するなら、国外に販路を広げて成長する。日本と世界の橋渡しをして、日本の幸せな社会を未来にわたって維持・発展させ続ける。それが、私の人生の目標です。