日本は最高に住みやすい国

現在、東京で働いている私ですが、将来的にも日本を拠点に弁護士として活動していきたいと考えています。数年後、アメリカ・ニューヨークの弁護士資格をとったとしても、その方針は変わりません。なぜならば、日本は私にとって、とても住みやすい最高の国だからです。

日本が住みやすい一番の理由は、その安全さにあります。もちろん、地震や台風といった自然災害の脅威はありますが、東京のような大都会であっても犯罪を恐れずに気楽に街中を歩けるというのは、世界的に見てとても貴重な環境です。

これまでロシアだけでなく、アメリカやフランス、イタリア、シンガポール、マレーシア、ベトナムといった国々に訪れたことがありますが、いずれの国でも、都心の街中を歩く際は強い警戒心を抱きます。スリや強盗といった犯罪に巻き込まれないよう、常に注意する必要があるからです。たまに旅行で行くならいいですが、こんな環境でずっと暮らし続けるのはちょっと……。暗くなってからも気軽に出歩くことができて、気楽にバスや地下鉄が使える日本の環境は、それだけでとても大きな価値があると思います。

また、前述のように、日本で生活していても、不当な「差別」を受けたりはしません。各種報道で「外国人差別」のような問題を目にすることがありますが、個人的な経験からするとそのような事例は極めて例外的。見た目や人種・国籍で不当な差別を行う人は、ごく一部の人々だけで、日本に住む多くの方々はそんなことはしません。ましてや、ヨーロッパのネオナチやかつてのアメリカのクー・クラックス・クラン(KKK)のような、暴力行為に結びつくほど極度の差別主義者は日本にはほぼいません。

このように住みやすい国である上、小さい頃から現在に至るまでの友人や恩師が多く住む日本に、できれば住み続けたいというのが今の私の願いです。

外国籍である以上、「フリーライド」は絶対しない

もっとも、私は「日本」にフリーライドするつもりは一切ありません。これまで国籍を変える必要性に迫られたことがなかったため、私はいまだにロシア国籍のままですが、主権国家のメンバーシップたる国籍を有していない以上、日本に甘えるわけにはいかないのです。

子どもの頃からずっと日本の方々に面倒を見てもらいながら育ってきたので、その恩返しをする意味でも、私自身が新たな価値を生み出し、日本社会に貢献したいと考えてきました。

そのような考えの下、子供時代に経験したインターナショナルスクールの破綻事件(2020年7月28日配信「日本初のロシア人弁護士『日本育ちの私がネイティブ級の英語力を手に入れた勉強法』」参照)や、職業への純粋な憧れから、今私は弁護士として働いています。現在は、多くの外国出身者が日本国内の企業で働いていますが、幼少期から日本にいた私としては、せっかくなら司法試験に通って、弁護士として、他に前例がない存在になりたいと考えたのです。

2000年代初頭の法曹制度改革により、日本国内の弁護士の数は増加しましたが、それでも私のような者にしかできない仕事や、私がコミットすれば劇的に円滑化する業務も存在するはずです。本来の弁護士プラスアルファの価値を生み出していくために、今も日々奮闘しています。