アメリカで日本の「温水洗浄便座」の売れ行きが好調だ。前年同期比でTOTOは約2倍、LIXILは60%増の勢いだ。ジャーナリストの藤澤志穂子氏は「欧米では普及に苦戦していたが、意外なことにコロナ対策として注目が集まっている。このまま欧米でも必需品になるかもしれない」という——。
米国では過去30年近くコツコツと売っていたが…
新型コロナウイルスの影響で、温水洗浄便座の売れ行きがアメリカで好調だ。
日本国内シェアトップ・TOTOの「ウォシュレット」は、今年1~3月の米国での売上高は前年同期比約2倍。国内2位・LIXILの「シャワートイレ」は、4~5月で同6割増になった。
ヒットの下地はコロナ以前に出来上がりつつあった。2020年6月に発売から40周年を迎えたTOTOの「ウォシュレット」は、米国市場では過去30年近く地道なプロモーション活動をしてきた。昨年1年間は販売台数で前年比25%増を実現。新型コロナウイルスの感染拡大が、その流れをさらに加速させた。
LIXILは米国で3月、シャワートイレが紙の代替になることを訴えるオンライン上の販売促進キャンペーンを実施。多くの消費者が必要に迫られて試す気になったとみられ「便利さと衛生面での優位性を実感したことが売上増につながった」(広報)という。
日本国内では、洗浄便座の普及率が8割に達している。日本人にとってはもはや当たり前のものだろう。だが、欧米では文化の違いから普及は進まず、多くの人にとってなじみの薄いものだった。日本のトイレメーカーは、コロナ危機をチャンスに代えることができるだろうか。