TOTOは北米での売上目標を「5年で3倍」に設定

こうした「教訓」も踏まえ、各社は米国を中心とした海外での拡販強化に乗り出した。TOTOは北米での「ウォシュレット」売上目標を、2022年度は約200億円と、2017年度の約3倍に設定。米トイレ用品大手と法人向けの共同営業を進めている。

体験機会を増やし、住宅リフォーム業者や日本食レストランに優先的に売り込み口コミ効果を狙う。家庭向けにはギフト需要として売り込む。デザインも工夫を凝らし、ニューヨークのショールームにあるウォシュレットはスタイリッシュそのものだ。

TOTOニューヨークショールーム外観=2019年3月撮影
写真提供=TOTO
TOTOニューヨークショールーム外観=2019年3月撮影

LIXILはアジアの生産拠点から米国向けに優先的に生産する体制を整えた。米国の水まわり設備メーカーのアメリカン・スタンダードや、高級水栓金具メーカーの独グローエのネットワークを傘下に収めており、海外市場での機動性は高い。いずれも米国での販売価格は、200~2000ドル前後(2万~20万円程度)と日本の価格帯とほぼ同じか、やや高い。

コロナ禍の終息にはまだ時間がかかるだろう。それはトイレ文化の変革にはチャンスとなる。洗浄便座は「非接触(タッチレス)で作動する自動水栓や便器自動洗浄システムへの注文も急増している」(TOTO広報)という。

かつてLIXILの元CEOは、「iPhone」を浸透させたアップルのスティーブ・ジョブズをもじって、洗浄便座を「トイレ界のiPhoneとしてイノベーションを起こしたい」と話していた。この「アメリカンドリーム」は、全くの夢物語ではなくなってきている。

【関連記事】
アジアから中東まで、海外で喜ばれる「日本のお土産」10選
需要が爆発中「いまこそ取り寄せたい絶品缶詰」ベスト10
ローマ教皇が「ゾンビの国・日本」に送った言葉
コロナ不況のはずが、株価だけ急速に回復し続ける本当の理由
シリアの警察を空手でボコボコにした酔っぱらい日本人の正体