風呂に入りたければ入り、眠くなれば寝てしまえ

今回のコロナ禍で強く実感したのは、リモートワークがもたらす心身への好影響である。出社に縛られない働き方は、心身を健康的な状態に保つうえでとても効果的な働き方といえるのではないか。何しろ、自由なのだ。風呂に入りたくなったらすぐにでも入れるし、眠くなれば仮眠がとれる。

もちろん職場によって社員に与えられる裁量の範囲が異なることは承知している。自宅作業用のパソコンに勤怠管理ツールなどをインストールすることが義務づけられ、始業時間、休憩時間、終業時間、在席状況が管理されるため、完全に自由にはならないケースもあるだろう。とはいえ、満員電車にギュウ詰めにされる通勤地獄や、苦手な同僚とイヤでも毎日顔を合わせなければならないといった面倒な人間関係からは距離を置けるのだ。これだけでも大きなメリットといえる。

会社のトイレで寝入ってしまうような働き方

私が毎週出入りしている会社は小学館を含め2社あるのだが、コロナ以前、皆が当然のごとく出勤していたころは、男性トイレの個室の埋まり具合が異常だった。大抵の場合、空いてる個室は4~5室中、1つ~2つしかないのである。タイミングによっては全部が埋まったまま、10分待っても空かないことすらあった。

またあるときは、トイレ全体の照明は消えているのに、ひとつの個室のドアが閉まったまま……という状況にも遭遇した。この会社のトイレは人の動きをセンサーが感知することで照明が点灯する仕組みになっており、一定時間、人の動きがなければ自動的に消灯する。おそらく個室のなかにいた人は「寝落ち」していたと思われる。そこまで猛烈に眠いのであれば、別にデスクに突っ伏して仮眠をとっても問題ないと思うのだが、それをするのははばかられるのだろう。だから、トイレの個室が仮眠室代わりになってしまうのだ。

仮眠を取ることも、ホッとひと息つくことも、スマホをいじることも、トイレの個室でしかできないのだとしたら、なんと窮屈で不健康だろう。こんな不自由な働き方なんてしなくてもいいではないか。だからストレスを感じてしまうのである。