国民民主の支持率はほぼ0という現実

ただし、このままでは玉木氏の前途が困難であることも間違いない。そもそも国民民主党は支持率が限りなく0%に近い政党であり、同盟系労組の組織力と政党助成金の残金の魅力だけで存在してきた頼りない存在だ。政策提言内容の中には一部には評価できるものもあった。ただし、それらの政策提言は立憲民主党との合流話や支持基盤の労働組合の影響を受けつつも、どこか歯に衣を着せた「インパクト」と「本気度」が欠けたものであった。したがって、玉木氏が主導して野党として独自の政策提言しようが、国民民主党の支持率はピクリとも動くことはなかった。

玉木氏と国民民主党には国民に示すビジョンがなかったように思う。しかも、政策提言や発言内容は立憲と合流することで常に雲散霧消する可能性が強かった。

今回、玉木氏が消費税減税の意見の相違を理由の1つとし、立憲民主党と合流せずに分党の覚悟を示したことは、玉木氏と玉木氏側に付いた国会議員の決意を示すうえで意義深いものであった。玉木氏が税金に関する主張が異なる立憲民主党との野合という民主主義を愚弄した行為に賛同しない強い信念を持った人物であることは確認された。

だが、残念であるが、このままでは彼らの多くは確実に落選することになるだろう。今回の決断は、おそらく旧同盟系の労組の少なくない離反を招くことになり、現状よりも小党化することによって比例復活を望むことが困難となる。そして、彼らの売りが中道の政策提言型政党というだけでは「何を政策提言したい政党なのか」ということがサッパリ不明だからだ。

玉木雄一郎は「みんなの党」を復興せよ

そこで、筆者は玉木氏に「みんなの党を復興すること」を求めたい。

現在でも「みんなの党」は、渡辺喜美・元みんなの党代表とN国党の浜田聡議員からなる院内会派として存在している。国会議員は議会において院内会派を組んで委員会活動などでのポストや発言時間の交渉を他会派に対して行うルールとなっている。したがって、政策的に一致点が存在した渡辺氏と浜田氏が委員会ポストなどを得るために「みんなの党」という名称の院内会派を結成しただけであり、渡辺氏はN国党に入党したわけではなく無所属のままとなっている。

つまり、2020年8月時点において、国政政党としての「みんなの党」は存在していない。そして、重要なポイントは、かつての「みんなの党」支持者は、同党が解党されて以来、自らが満足できる投票先を国政選挙において得ていない状態が続いているということだ。みんなの党が2013年参議院議員選挙全国比例で獲得した約475万票の有権者は、現状の不十分な選択肢に強い憤りを持っていることが想定される。

しかし、仮に渡辺氏がみんなの党を復興しようとしても、参議院議員1名の状態から国政政党「みんなの党」を復興することはさすがに不可能だ。一方、みんなの党が目指した中道右派の自由主義的な政策の方向性を記憶している有権者は確実に存在している。このもどかしい政局状況を変えることができるのは、玉木雄一郎を除いて他に存在していない。