セクシー記者会見での恥を税金でごまかす

2019年9月、国連での大臣としての初外遊中の「セクシー記者会見」で、外国人記者に「日本の石炭火力について半年から1年以内にどうするか」を問われて「減らします」以外に何も答えられなかった小泉大臣の姿は国民の記憶にバッチリと残ってしまった。

そして、あのセクシー記者会見で小泉大臣の隣の席に座って親しく話していた人物は、気候変動に関する環境マフィアとして知られるクリスティーナ・フィゲレス前国連気候変動枠組条約事務局長であった。

世界から「何も知らない」と笑われたのは日本ではなく小泉大臣だったのだが、この一件でメンツが潰れたことを余程気にしたのか、日本に戻った後の小泉大臣は炭素税にCO2削減と石炭火力潰しの活路を見いだしたようだ。

2019年11月29日、経団連の中西宏明会長らと懇談した際、二酸化炭素を排出する事業者に炭素税などで費用負担させる「カーボンプライシング」導入や石炭火力発電への依存脱却への協力を呼びかけるとともに、2020年2月4日衆議院予算委員会で「炭素税、排出量取引を含めてさらなる議論と理解が深まることを期待している」と岡田克也氏に答弁している。

炭素税には財務省も関与している?

さらには、環境省は「令和2年度カーボンプライシング検討調査委託業務」(入札提出期限 令和2年4月8日)、「令和2年度カーボンプライシングが地域経済に及ぼす効果・影響に係る情報収集等委託業務」(入札提出期限 令和2年3月19日)の2つの入札案件を行い、「炭素税大増税」の理屈づくりための事前準備を着々と進めてきていた。

これは新型コロナウイルス問題が表面化し、国民が塗炭の苦しみを味わう中で進められていた増税準備という暴挙であった。

したがって、小泉大臣が上記の調査発注直後の記者会見で「2021年度の税制改正要望での炭素税見送りに言及」しても、来年度以降には再び増税要望を入れ込むチャンスを伺うだろうことは、冒頭の事務次官人事ひとつを見ても明らかである。

石原宏高副大臣のTwitter上での炭素税に関する有権者とのやり取りも注目に値する。

「『景気良くなってから炭素税』とのことですが、景気良くなったからと増税して、日本が本当に景気良くなったり、経済成長するとお考えでしょうか。私は、かなり違和感があります」

という一般有権者からの質問に対し、石原副大臣は、

「このままで、税と給付のバランスが正しいとお感じですか? 日銀の長期国債保有割合は3月末47%まで拡大しており違和感を感じています。」

と述べている。つまり、自民党税調のメンバーでもある石原副大臣は炭素税が日銀の国債保有割合にインパクトを与える規模になり得ることを示唆しており、炭素税が環境省だけでなく財務省の肝いり政策であることをうかがい知れる一幕があった。