「旅行業界の支援が必要」と言いながら「税金は使うな」
朝日社説は書く。
「コロナ禍で苦境に陥る旅行業界の支援が必要なのは言うまでもない。感染拡大の防止と社会経済活動の両立をめざす必要もある。だからといっていま、税金を投じて旅行を促すべきだということにはならない」
朝日社説は「旅行業界の支援が必要」と言いながら、「税金は使うな」と言いたいのだろう。しかし、沙鴎一歩は冷え込んだ旅行業界をもとに戻すには、税金の投入も必要だと考える。天下の朝日社説にしては説得力の欠ける主張である。
朝日社説は「東京都の住民や業者も同じ納税者だ。東京都だけを対象外にして事業を進めるのは、公平性の観点からも疑問が残る」とも指摘する。
「公平性の観点」で考えた場合、どうしても不公平さは残る。だが、いまはコロナ禍という非常事態にある。そのなかで衰退しつつある地方経済をできるだけ早く活性化せるには、多少の不公平感は仕方がない。
さらに朝日社説は書く。
「朝日新聞は社説で、事業の実施をいったん見送って1.35兆円の予算は自治体に移し、地域独自の観光支援策を後押しするよう提案してきた。どんなかたちで観光業を支援するのかという判断は、地域に委ねるべきだと考えるからだ」
「1.35兆円の予算は自治体に移す」という提案には賛成だ。
読売社説は「東京を除外することはやむを得まい」と指摘
次に7月18日付の読売新聞の社説を見てみよう。
見出しは「GoTo見直し 感染防止が最優先の課題だ」である。「感染抑止と経済再開を両立させることが、いかに難しいかが浮き彫りになったと言えよう」と書き出し、こう主張する。
「全国の観光業界は今、宿泊者数が前年の2割以下に落ち込むなど、深刻な打撃を受けている」
「感染を抑え込みながら、観光事業者を救済するGoTo事業を進めるには、東京を除外することはやむを得まい」
前述した沙鴎一歩の考えと類似し、理解できる訴えである。読売社説は指摘する。
「問題は、事業の実施時期を前倒ししたことにある。本来、コロナの流行が収束した後に実施される予定だったが、7月の4連休に間に合わせるため、感染が収まらない状況下での開始となった」
なぜ、安倍政権は収束を見定めなかったのか。しかも菅官官房長官は「東京問題」とまで言い切っていた。長期政権の驕りではないかと、沙鴎一歩は考える。