お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建氏の不倫が世間を騒がせた。男女関係や不倫について20年以上取材を続けるフリーライターの亀山早苗氏は、「あれは不倫ではなく、ただの女遊びだ。本来、不倫とは恋愛感情が伴うものである」という——。
六本木ヒルズと桜
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かつては「有名人の不倫」は叩かれる対象ではなかった

複数人の女性との不倫が報じられたアンジャッシュの渡部建氏への「不倫バッシング」が止まらない。ネットを見ると、ニュースに対して「二度と顔を見たくない」「子どもの教育に悪いからテレビに出てこないで」というコメントが並ぶ。それを見るたびに暗澹あんたんたる気分になるのは筆者だけだろうか。ここまで「見ず知らずの人」に対して罵詈雑言をぶつけることができる人たちの気持ちが理解できない。

そもそも人は他人のスキャンダルが好きだ。それが顔も名前も知られた有名人であればあるほど恋愛スキャンダルは蜜の味。だが、それは「恋愛スキャンダル」が、どれほどえげつなくてもドロドロでも、しょせん「芸能人の恋愛」だからである。高みの見物をしながら酒の肴にし、言いたいことを言うのが楽しいからだ。だが、それが当事者の仕事を奪うことにつながっていくとなると話は別。スキャンダルが出るたびに、実際にその人が出ているテレビ局やスポンサーの名前、連絡先までもがリスト化され、「ここに抗議しましょう」と呼びかける声がネットに上がる今の状況は尋常ではないとさえ思う。

かつて芸能人の不倫スキャンダルは多々あった。本妻がいながら愛人と同棲、病気になって最後は本妻宅へと戻った俳優、妻がありながら数々の女性たちと浮名を流し、それでも誰からも恨まれなかった俳優などなど。そのたびに芸能記者が駆けつけてテレビにその話が流れたが、一般人はそれを楽しんでいたはずだ。なぜなら相手は「スターだから」。自分たちができないことをやっているのを見るのがおもしろかったから。