※本稿は、亀山早苗『人はなぜ不倫をするのか』(SB新書)の一部を再編集したものです。
結婚相手としての異性を決めるプロセス
【福島哲夫氏】恋愛心理学には「SVR理論」というものがあります。これは社会心理学者、マースタインが提唱した理論で、結婚相手としての異性を決めるプロセスは、次の3つのステージを経て関係が深まるというものです。
S(Stimulus)……出会いから恋愛初期の段階。ここでは相手の外見、声、性格や社会評価などからの刺激が重視される
V(Value)……恋愛関係にあるステージ。ここでは趣味や価値観の共有が重視される
R(Role)……結婚や共同生活を始めるステージ。ここではお互いの役割を理解し、補完し合う関係であることが重視される
恋愛というのは、このように推移することから免れられません。どこかの段階にとどまっていることはむずかしいのです。もうひとつ、カナダの社会学者ジョン・アラン・リーが分けた恋愛の6つの型というのもあります。
【Mania:狂気的な愛】
独占欲が強く、嫉妬・憑執・悲哀などの激しい感情を伴う愛
【Eros:美への愛】
恋愛を至上のものとしてとらえ、ロマンティックな考えをとる愛
外見を重視し、一目惚れを起こしやすい
【Agape:愛他的な愛】
相手の利益を考え、自分自身を犠牲にすることをいとわない愛
【Storge:友愛的な愛】
穏やかな、友情的な恋愛。長い時間をかけて恋愛が育まれる
【Pragma:実利的な愛】
恋愛を地位の上昇などの手段と考え、相手の選択には社会的な地位の釣り合いなど様々な基準を立てる愛
【Ludus:遊びの愛】
恋愛をゲームととらえ、楽しむことを大切にする愛。相手への執着が少ない
不倫しやすい人というのは、SVR理論では永遠にS、つまり恋愛に刺激を求め続ける人で、リーの6つの型でいえば「マニア(狂気的な愛)」や「ルダス(遊びの愛)」を追求する人といえるでしょう。恋愛がすべてこうした型に分かれるわけではありませんが、ひとつの分類として興味深いと思います。