不倫相手の条件は「口が堅いか、節度があるか」

【福島哲夫氏】私は不倫の善悪に関してどうこう言うつもりはありません。一夫一妻に関しても、おそらく他の方法よりはベターだからそうなったんだと思っている程度です。

亀山早苗『人はなぜ不倫をするのか』(SB新書)
亀山早苗『人はなぜ不倫をするのか』(SB新書)

ただ、現実問題として結婚していながら恋愛する人は少なくない。知人でやはり不倫経験のある男性がいます。彼は家庭を非常に大事にしているんですが、どこも同じようにやはりセックスレスという問題を抱えています。結婚期間が長くなり、誘っても奥さんに断られるようになった。最初はそれがいらだたしく思えたし、自分が拒絶されたようでつらかったそうです。でも、セックスレスって慣れていくんですよね。彼自身も、家族として妻への愛情が減ったわけではないと自覚しています。

そんなときに恋が忍び寄ってきた。相手も既婚者です。彼は恋愛していいものかどうか、非常に悩んだそうです。バレたら大事な家族を悲しませることになるし、社会的な立場も失うかもしれません。そこで彼が確認したのが「相手の女性は口が堅いか、節度があるか」ということでした。相手も自分と同じように家庭を大事にしているなら、恋愛は恋愛として成立させられるのではないか。もちろん性的な要素も重要な条件だと彼は言ってましたが(笑)。

心のバランスが整ったら手を引くこと

ただその恋愛は2年ほどで終わったそうです。彼女のほうから「もうそろそろこのままではいけないと思う」と言われたとのことでした。確かにそのときには、彼のほうにも恋が始まった当初のわくわく感はなくなっていました。お互いに情緒が安定して、心の深い部分でわかり合ったという実感もあり、とてもいいつきあいだったと言える状態にあった。フラれるのはつらいけど、彼女が言うようにそこが潮時だったのでしょう。彼女には「節度」があった。彼はそれを受け入れました。

この話を聞いたとき、こういう不倫だったら他人がどうこう言えないと感じてしまいました。ある意味で「不倫は純愛」だというのは本当なんだなとも思いました。独身同士と違って結婚という目的がないから、ふたりの愛情だけを頼りに歩んで行くことができる。とはいえたとえ純愛であっても、ずるずるといくとあまりいい結果にはなりません。

空いた穴に足りないものを埋め、心のバランスが整ったら、関係から抜けられなくなる前に手をひき、誰にも迷惑をかけないというのが、大人の知恵かもしれません。

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