「悩む」ということは、つまりは自分の人生の情報を整理するということである。しかし、具体的な学び、仕事をせず、その記憶もなければ、そもそも整理すべき素材もない。何もしないで悩んでいるだけでは、ぐるぐると同じところを回ることになってしまう。

悩んでいるだけでは、人生は前に進まない

「私悩んでいるんです」「ぼくの悩みを聞いてください」という方の一部分は、悩みの堂々巡りに陥ってしまっている。時には、悩むことは必要である。悩むことで、人生の新しい道筋が開かれることもある。しかし、悩んでいるだけでは、人生は前に進まない。

質のいい悩みを可能にするためには、悩みとは直接関係のない具体的な行動、経験という準備が必要である。

側頭連合野に蓄えられたさまざまな記憶、情報を整理し、いわば「ドット」と「ドット」を結んで創造的な発想、ひらめきを生み出すのがディフォルト・モード・ネットワークの大切な働きである。しかし、そのためには、素材となる具体的な経験や記憶が蓄積されていなければならない。

脳の働きから見ておススメのライフスタイルは、とにかく具体的な行動を優先することである。昼間起きている時間のほとんどは、実際に何かをするために使うのがいい。勉強でも、仕事でも、次から次へと「プロジェクト」を推し進めていく感覚でいい。

そのようにして目の前の課題に取り組んでいると、脳の中に記憶がバラバラのまま蓄積してくる。だからこそ、何かに集中していて、ふと気を抜いたり、散歩やランニングをしたりといった「すき間」に脳はその整理を始める。そのときこそディフォルト・モード・ネットワークの出番なのである。

仕事がうまくいく人、多くを学ぶ人は、いつも何かに取り組んでいる。人生の選択肢も、何となくではなく、具体的な道筋を検討している。

一見の割り切って行動している人ほうが、悩むべきときにはきちんと悩むことができる。色とりどりの経験の蓄積がある分、中身の濃い「生きる道」の模索ができるのである。

悩むことは、具体的な行動が続く中での1つの「読点」だと思えばいい。よく学び、よく働く人ほど、人生の悩みをテンポよく、意義あるかたちで深めることができるのだ。

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