話がわかりやすい人は何が違うか。ビジネス数学教育家の深沢真太郎氏は「方向づけする言葉があると聞き手にとってはわかりやすい。私がわかりやすい話をすると感じた経営コンサルタントの方は、話の最後は必ず『以上です』と締めていた」という――。
※本稿は、深沢真太郎『数学的に考える力をつける本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
正しいけど言いたいことが分からない上司の言葉
わかりやすい説明をするためには、短文で伝えることがポイントになります。
事例で説明します。次の文章を読んでみてください。
「来週の会議は重要な意思決定をする場だ。月に1回しか開かれないし、役員が全員参加するし、議題も経営判断が求められるものばかりだ。特に社長は会議資料の内容や体裁に細かい指摘をするタイプなので、作成する資料にはヌケモレがないようにしておかなければならない。あ、以前に資料に不備があって社長にこっぴどく叱られたこともあったよ。絶対に不備がないよう、よろしく頼むぞ!」
おそらく中間管理職の人が部下に資料作成を命じているのでしょう。しかし、仮に言っていることがすべて正しいとしても、部下は何を言われているのかすぐにはつかめないと思われます。
要するに言いたいことは、「資料の不備はNG」ということです。ならば、次のように短文と数学コトバ(※)を使って簡潔に伝えれば十分ではないでしょうか。
「来週の会議は重要な意思決定をする場だ。だから、資料に不備がないように厳重なチェックをよろしく頼む」
「来週の会議は資料に不備がないよう入念にチェックをよろしく。なぜなら、重要な意思決定をする場だからね」
このほうが相手に伝わりやすいはずです。
※「たとえば」「つまり」のように「思考を促すコトバ」のこと。詳細はこちらの記事に記載。