新宿・歌舞伎町で笑顔に満ちる警察官

のんびり走るパトカー、談笑も
のんびり走るパトカー、談笑も(筆者撮影)

「わかんない」とは「国や都が把握できっこない」ということだろう。実際お手上げのようで、とりあえずの検査と要請を大手ホストクラブを中心に呼びかけただけ。そしてこの取材の数日後、19日にはライブハウスや接待を伴うナイトクラブなどの休業要請が全面解除される。警察車両は通るがのんびりしたもの、お巡りさんの声掛けも本当に声掛けで笑顔と笑いに満ちている。警察官もある意味、歌舞伎町の仲間だ。

バッティングセンター近く、ホストクラブが密集するエリアにはいかにもなセダン。私服姿で目の鋭い男二人の乗った覆面パトカーだ。この二人、歌舞伎町交番に待機していたのを私は見ている。私服警官であることは間違いない。もちろんみんな知っているので気にしない。大手はきっちり時間通りに店を閉めて、揉め事を起こさなければいいだけ。警察が絡むとやっかいというだけで、コロナなんか関係ない。

歌舞伎町の一角は渋滞。タクシーや高級セダン、高級ワゴンが列をなしている。キャバ嬢たちのお帰りだ。「お疲れ様です」と綺麗なお嬢さんがしょぼくれたお爺ちゃんの運転する黒塗りセダンの後部座席に乗る。ワゴンには女の子が続々乗り込んでいる。そのたびに渋滞が伸びて、クラクションが鳴り響く。

タクシー運転手「咳こんでいるホストは怖い」

いつまでも動かない渋滞の列に巻き込まれた空車のタクシーを拾って、ちょっと運転手に聞いてみる。

区役所通りは渋滞
区役所通りは車の列(筆者撮影)

「だいぶ(お客さんは)戻ってきましたけどまだまだですね。この時間、いつもはもっと渋滞すごいですから」

夜の街、とくにこの歌舞伎町はコロナのクラスターで世間からフルボッコに遭っているが、運転手さんは怖くないのか。

「いやあ、それね。タクシーの運転手なんて同情されたこともないでしょ。私たちもコロナに罹るかもしれないし、いまも罹ってるかもしれないのにね」

言われてみればそうだ。私はいつも不思議なのだが、震災だろうが疫病だろうがテレビの定点カメラにはいつでもタクシーが走る姿が映る。こうなってくるとある意味、警察や消防どころか軍隊より危険な仕事だ。核が落ちてもタクシーは走っているかもしれない。

「しょうがないんだけどね。仕事だからね。酔っ払って咳こんでるホストとか怖いけど、しょうがないとしか言えないね」