むし歯や歯周病を防ぐには、いつ歯磨きをすればいいのか。歯科医の江上一郎氏は「多くの人に驚かれることだが、食後20~30分以内の歯磨きは避けた方がいい。食後はうがいをして、その水を飲み込むだけで十分だ」という——。
※本稿は、江上一郎『すべての不調は口から始まる』(集英社新書)の一部を再編集したものです。
歯磨きには「ゴールデンタイム」がある
歯のケアについて患者さんから質問されることのうち、もっとも多いのは、「歯はいったいいつ磨けばいいのか」ということです。
逆にどうされているのかを聞いてみると、「食後すぐに毎日3回」「夕食後1回」「就寝前に1回」「食後3回+起床時と就寝前の1日5回」「毎食後に洗口液+磨くのは寝る前だけ」「食事前と後にもする」「口臭がするときだけ」「朝食後や外出前のみ」「痛いから磨かない」など、患者さんによってさまざまです。
実のところ、先述のプラークコントロールという目的と、食事と睡眠に関わる唾液の分泌と働き、それに伴う口の中の細菌の数の増減を考え合わせたタイミングがベストであり、結論から言って、私は次のように考えています。
1 もっとも重要なのは「夜寝る前」
2 次に「起床後すぐ」
3 余裕があれば「食後30分後以降」も
なぜこのタイミングがよいのかを、患者さんのケースとともに、磨くべきではない時間から順に説明しましょう。