食後は「マイ歯間ブラシ」で食べかすを取り除く
その後に唾液を利用して、『すべての不調は口から始まる』で紹介している「舌回し体操」で歯の表面や歯ぐき、上あご、下あごをなぞってみてください。前述のように、唾液を歯磨き剤に、舌先を歯ブラシに見立てて、口の中を磨くイメージで行いましょう。
食後すぐのタイミングで実行しておきたいもうひとつのケアは、つまようじや歯間ブラシ、デンタルフロスなどで食べかすを取り除くことです。食べかすはまだ歯垢になっていないため、つまようじや歯間ブラシで容易に取り除くことができます。歯磨き剤を使わないので、唾液を洗い流すこともありません。
歯間や歯と歯ぐきの境目のブラックトライアングルにたまった食べかすを取り除くと、そこに唾液が流れてむし歯の自然修復作用である再石灰化に役立ちます。そのために、「マイ歯間ブラシ」を常に携帯するとよいでしょう。
食後すぐのタイミングでの口腔ケアには、「唾液で歯磨き+ぐちゅぐちゅゴクン+舌回し体操+歯間ブラシ」を行いましょう。2~3分でできます。
むし歯や歯周病の多くは睡眠中に進行する
唾液の分泌が1日のうちでもっとも増える時間は食事中と食後だと言いました。では唾液がもっとも減る時間帯とはいつでしょうか。
それは、「睡眠中」です。睡眠中は体の生理的活動が低下し、涙や胃腸の運動が鈍化、呼吸器系や脳も休息し、体から排出される液体すべてが減少します。唾液の分泌量は1日1~1.5Lと述べました。そのうち、安静時の分泌量は1時間あたりの平均が約19mlであるのに対して、睡眠時は平均2mlと激減します。これは大小の唾液腺の活動がとまるためと考えられています。
つまり、睡眠時は、唾液のすべての作用が期待できず、口の中は細菌が繁殖して急増します。このため、むし歯や歯周病の多くは睡眠中に進行するのです。そこで、夜寝る前に歯を磨いて、できるだけ歯垢を取り除いておくことがプラークコントロールにとって最重要になるわけです。夕食後は前述の唾液による口腔ケアをして、「寝る直前」に丁寧に磨いてください。
寝る直前と起床直後の丁寧な歯磨きは必須
次に、朝起きたときの口内の状態に注目しましょう。口の中が渇いてネバネバしているでしょう。年齢とともに自覚する人が増えますが、そのネバネバが細菌の増殖を示しています。起床してすぐは、口の中は細菌のかたまりでいっぱいなのです。
歯磨きをしないで朝食をとると、食べ物の糖が、大量のネバネバに棲む細菌と結びつき、歯垢をどんどんつくります。また、起床してすぐに水を飲むのもいいことではありません。口の中いっぱいの細菌をのどや体内に送ることになるからです。水を飲むのは歯磨きのあとにしましょう。