せめて医療物資だけでも、国内製造回帰が望ましい
これによって、安価なモノが日本に流入し続け、モノの価値が下がり続け、国内での生産はまるで「悪」のように見なされてきました。しかし、今回の感染リスクを目の当たりにして、医療の安全保障上の観点からも、せめて、医療物資に関するものだけでも、国内製造回帰が望ましいことが、明らかになりました。
マスクのほかにも、人工呼吸器や防護服などの不足で、日本は医薬品、医療機器、医療用品の輸入依存率が高いことが露呈しました。今後は医療関係の自給率の向上させていく必要があります。中国はすでに米国に次いで、世界第2位の医薬品生産国になっています。中国は「中国製造2025」の重点分野として、バイオ薬品とハイテク医療機器を指定しており、国際競争力の強化に力を入れています。
日本は医療の安全保障上とても危険
今回のコロナウイルスのワクチンや治療薬、治療法の開発も進めていますが、コロナを機に中国製品を浸透させ、世界の医療・福祉分野で主導権を握る意図も感じられます。
リーマンショックの際に、中国は内需拡大策を打ち出し、鉄鋼などの生産能力を一気に拡大しています。それにより、廉価な中国版の鋼材が世界中に流入したことがあります。これと同じことが、医療用品などの分野で起きる可能性があります。中国製の医薬品に依存し過ぎる体質は、医療の安全保障上も非常に危険であることを、日本も考えるべきなのです