米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定せず
一例を挙げよう。
トランプ大統領は暴動を鎮圧するために米軍の派遣を示唆した発言を行った結果、大手リベラルメディアから激しい批判に受けるとともに、反トランプ色の強い共和党関係者からも同大統領の指導者としての資質を疑う声が上がった。日本人の有識者らはこれらの発言を取り上げる形で大々的なトランプ批判の言論を煽っていた。
しかし、米国の著名な調査会社Morning Consultが5月31日・6月1日に実施した世論調査によると、トランプ大統領の「警察を補完するために軍隊を派遣する」という考え方を支持する米国市民の割合は58%、つまり過半数の人々は同大統領の方針を肯定していることが判明した。つまり、米国民の大半は暴徒の無法行為を肯定しているわけではないのだ。
米国世論の数字を無視したトランプ批判
その内訳としては、米軍の派遣を肯定する人々は共和党支持層(77%)が多いが、民主党支持層(48%)や無党派層(52%)、人種別でもヒスパニック(48%)、アフリカ系(37%)と少なくない割合が賛同している。ちなみに、アフリカ系でも軍の派遣に対する反対者は49%に過ぎず、残りは無回答14%となっている。米国世論の数字を無視したトランプ批判を鵜呑みにすると、米国の現実、そしてトランプ政権の意図を読み間違えることになってしまうだろう。
本論稿は、民主党側の視点からの主張ではなく、あくまで共和党側の視点で現在の米国の問題について解説していく。そうすることで、読者諸氏はトランプ大統領および共和党が何を狙って、その政治的メッセージを発しているのかをその意図を捉えることができるようになるだろう