感染拡大のピークは日本と同じで終息しなかったアメリカ

この点に関して、参考になる海外の状況と比較してみましょう。以下のグラフは、WHOが公表しているコロナの新規感染者数を私がまとめたものです。比較しやすいように日本、アメリカ、韓国、中国の時間軸を調整しそろえています。日本で感染が拡大し収束していったタイミングや状況と比較すると、どの国もグラフの形が違うこと、つまり収束の経緯が違うことがわかります。

各国のコロナ新規感染者数推移の比較

最初に見てほしいのが日本とアメリカの比較です(図表1参照)。日本のほうが感染の始まりは早いのですが、感染拡大の本格的な時期と最初のピークから下がり始めた時期はアメリカと非常によく似ています。しかし、アメリカの場合はその後日本のように感染が収束しなかった。

ニューヨークなどでは厳密なロックダウンが続いていたのですが、50州全体でいえば感染者がたくさんいる段階で自粛を緩めてしまいました。その結果、アメリカの感染者数はいまだに減っておらず、コロナと共生しながらの経済再開を考えざるを得ない状況になっているわけです。

それを踏まえると、日本もアメリカと同じように、これから感染者数が減らないのではないかと気になるところです。そこで見ていただきたいのが韓国のグラフです(図表1参照)。韓国は5月上旬に外出自粛が解除されました。ところがその数日後、ソウルの繁華街の梨泰院(イテウォン)のナイトクラブで新型コロナのクラスターが発生しています。

ナイトクラブだけで86人の感染者が確認され、韓国全体でも200人以上の感染者が出たことから「韓国で流行の第2波が来た」と日本では大きく報道されました。それは事実ではあるのですが、着目したいのはグラフの山の大きさです。とても小さいのです。

韓国と同じようなことは日本でも起こる可能性があります。自粛が緩むことでクラスターは発生するでしょう。しかしすでに収束に向かった段階でのクラスター発生であれば、そこで抑え込むことで2つ目の大きな山はできない。つまり、うろたえる前に対策を講じれば再流行はコントロールできるはずです。