呆れるほどの擁護記事にはB記者の名前も
しかし、問題はA記者だけではなかった。産経関係者によると、なんと文春に登場するもう一人の産経記者、B記者も翌22日付けの朝刊で執筆していた可能性があるというのだ。
文春報道によれば、B記者は今年はじめまでは司法クラブのキャップだった。黒川氏とはもう十年以上の付き合いで、黒川氏に最も食い込んでいる記者として有名なのだそう。
B記者か書いたとされる記事のタイトルは「黒川検事長『現場派』の実像」だ。産経のシステム上でも、当該記事の執筆者はB記者とされていた。この記事は“早版”と呼ばれる、印刷所から離れた地区に届ける締め切りの早い版にしか載っていない。締め切りが遅い“遅版”には別の記事が載っている。
その早版の記事では呆れるほど黒川氏のヨイショが続く。
<「みんな官邸寄り、官邸寄りというが、そんな証拠も事実もない」>
<捜査センスも高く「将来の特捜部長」の声もあった>
<決してこわもてではなく、ある検察OBは「気さくで陽気な性格。ウイットに富んだジョークで場を和ませるのが抜群にうまい」と評す>
<「休みの日でも与野党問わず、国会議員から相談事を受けると、愛想よく『分かりました。検討します』と応じ、方々に電話をかけて対応を指示していた。内容は法務省外のことも多かった」>
産経はなぜ事件当事者に書かせたのか
一応、"批判的"な記載もあった。
<一方で「過去にも数回、週刊誌などに尾行されていたことを知っていたのに、今回の問題を起こした。リスクをいとわない過剰な自信と豪放磊落さが裏目に出てしまった」(検察関係者)との声も漏れた>
ちなにみこの賭けマージャンを巡っては、岐阜県の弁護士らが、4人は常習賭博罪に当たるとして、東京地検に告発状を郵送したと報道されている。世間から猛批判を受けながら、産経新聞は本当に当事者たちに記事を書かせたのだろうか。その記事に客観性や中立性はあるのだろうか。
産経新聞社広報部はプレジデント編集部の取材に「現在、賭けマージャン問題については社内調査を進めておりますが、署名原稿以外、どの記者がどの記事やどの部分を執筆したかなどについてはお答えしておりません。また編集過程や編集システムに関して詳細を説明することは差し控えさせていただきます」と答えた。