高齢者のいのちを守りきることはできるか
感染ピークの第1波をどうにか乗り越えた4月20日、慈善団体の「AgeUK」は、死亡届による死者数が、コロナ原因死の人数より極端に多かった事実を政府が発表したことを受け、「介護施設に肉親を預けている人々にとって、非常に衝撃的で悲痛な推計だ」と批判。「施設で起こっていることは悲劇といえ、これを回避するにはもう遅すぎるが、今後はより多くの命を救ってほしい」とつらい声明を出している。
国はこうしたジレンマの解決に向け、介護職員などに行きわたるよう、空軍機まで出して大量輸入した防護服の多くは5月7日になって「安全性が足りない」という理由でリコールとなった。
高齢者が亡くなっている事実はもっと重い。最後に図表2を見ていただきたい。
幸いにも、最新統計を見る限り、介護施設での死亡者もどうにか減少傾向となってきた。ただ、イギリスでは徐々に経済活動が回復してきており、施設の勤務者が外からウイルスを持ちこんでくるリスクが再び高まっている。
果たして、高齢者のいのちを守りきることができるのだろうか。課題はまだ山積みだ。