約1カ月間で、例年より1万5000人多く亡くなっている

保健省は4月13日、実態調査した結果、イングランドに1万5000カ所余りある介護施設のうち、13.5%に当たる施設2099カ所で集団感染が起きていると発表した。

その後の経過は惨憺たるものとなった。病院に搬送されないまま施設で亡くなる高齢者が続出。例年、英国の介護施設で亡くなる人は毎週2800人程度だが、4月から5月にかけての1カ月間は、毎週4927人~7911人が亡くなっている。その「超過死亡」は、この1カ月だけでも1万5000人に上る。

介護施設での入所者へのお世話は「すべての動きが濃厚接触」というくらい、職員が高齢者らの身体に触れる回数は極めて多い。つまり、ひとたび職員が外部からウイルスを持ち込んだら、たちまち施設内で蔓延するリスクが高い。実際に、北アイルランドにある介護施設では、入所者39人が全員陽性、うち14人がすでに命を落とす、という厳しい状況にある。

世界保健機関(WHO)の欧州担当専門家は4月23日に行われた会見で「各国の推計では、欧州での新型コロナの死者数の半数近くは介護施設の入所者らだとみられる」と指摘している。

イギリスの「新型コロナによる死者数」は毎日夕方、首相官邸から発表されている。

このベースとなる数値は3月以来「病院で亡くなった人数」が伝えられていた。しかし、4月29日を機に「陽性で亡くなった全死者数」へと切り替えられた。つまり、介護施設や自宅での死者を加えて、より実態に合った形に変えた。5月18日現在、陽性と確認された死者数は3万4796人に達している。