「有名大学→大企業→お金持ちになっていい車に乗る」はダサい

谷口君、篠原君のように起業家として活躍する若者はますます増えていくだろう。堀江貴文氏が主宰する通信制高校「ゼロ高等学院」の学院長、内藤賢司氏はそう主張する。

「今の大人が考える勝ちパターンって“名門高校→有名大学→大企業”ですよね。でもそれって、実は頭に『取りあえず』ってついていませんか。“人口は減っていくけれど”“ITの進歩は著しいけれど”“大企業も簡単につぶれてしまうけれど”、そんなさまざまな懸念があるのに、思考が停止している。大人たちが薦める旧来の“進路”は嘘くさいと、子供たちに見透かされてきています」

通信制高校「ゼロ高等学院」の学院長、内藤賢司氏
撮影=岡村智明
通信制高校「ゼロ高等学院」の学院長、内藤賢司氏

情報に敏感な子供たちが起業に向かう理由として、価値観の変化があると内藤氏。

「2000年代以降生まれの子たちにとっては、お金持ちになっていい車に乗る、いい時計をするという価値観はダサいと思われています。それよりも、低賃金労働をなくそうとか、気候変動をなんとかしようとか、そういった社会貢献のほうがイケてるわけです。こうした価値観を追求しようとしたら、大企業に入るより起業するほうが目標に達しやすい。これからは、自ら問題設定ができる彼らのような人たちが社会の中心で活躍していくでしょう」

自ら問題設定ができるようになるために必要なのは、学校で習うような知識ではなく、自由な時間と良いコーチの存在だそうだ。

「谷口君、篠原君が、才能を認め導いてくれるコーチに出会えたのは、好きなことを追求していたから。親がすべきことは、子供が自分のやりたいことを主体的に考えられるように、塾や習い事で予定を詰めすぎないこと。目の前のことに追われていると、問題設定をする思考力が育ちません。何もしていないわが子を見ると不安になるかもしれませんが、子供を信用することから始めてみてください」

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