コロナ禍で「9月入学」のインターナショナルスクールに注目が集まる
新型コロナウイルスの影響で、日本経済は深刻なダメージを受けている。
だが、振り返ってみれば新型コロナ感染拡大前から、わが国の衰退は始まっていた。2018年度のGDPは世界第3位だが、国民一人当たりに換算すると経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中20位。1997年を基準にした実質賃金の国際比較では、先進国の中で唯一日本だけが低下している。
超少子高齢社会による人口減もあり、大胆な移民政策でも行わない限り、GDPは下がり続けていくと予測する専門家もいる。
このような状況から近年では、富裕層の間で「将来、日本でしか働けないようでは、貧しくなってしまう」「世界のどこでも生きていけるようにしてやりたい」と、わが子をインターナショナルスクール(以下、インター)や国内外のボーディングスクール(全寮制学校/以下、ボーディング)に進学させるケースが増えている。
インター専門メディア「インターナショナルスクールタイムズ」の村田学編集長は次のように語る。
「もともとは海外駐在経験のある親が、赴任先で受けた海外の教育を継続させるために帰国後も子どもをインターに通わせることがほとんどでした。しかし最近では、海外経験のない親も増えています。経営者や企業役員、医師といった方々です。インターでは、授業はすべて英語で行われるので、高校卒業までにネイティブ並みの英語力と学力が身につきます。カリキュラムは国際バカロレアやイギリスのシックスス・フォーム、アメリカのコモンコアなど、国際的に通用する内容になっていて、卒業後はスムーズに海外大学にアクセスできる点が人気です」
富裕層は日本の学校からインターやボーディングにシフト
いま話題になっている「秋(9月)入学」も、インターでは当たり前だ。
「インターはもともと外国人駐在員のお子さんのための教育機関ですから、卒業後は母国(欧米)の大学など進学先に入れるようにほとんどの学校が秋入学、初夏卒業になっています。日本の学校から海外進学しようとすると半年間のタイムラグが出てしまう。この点もインターならラグが発生せず、それも人気の理由の一つになっていると思います」
9月入学(新学期)にするかどうか、と文部科学省が判断をもたもた遅らせている間に、富裕層の保護者の中には、わが子を日本のインターやボーディングに進学させる決意を固めているケースも増えるだろう。
ちなみに、東京大学は2012年に秋入学を検討したことがある。結局、学内で反対にあって頓挫した。その直後から、東京大学は世界大学ランキングの順位を落としていったと村田さんは指摘する(2013年27位→2019年42位)。
「世界大学ランキングでは外国人生徒比率などが評価に含まれるため、外国人が留学しにくい日本の大学は軒並みランキングを落としました。今回(のコロナの影響で)、秋入学が導入されることになれば、これを挽回するチャンスになることは間違いありません」
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