女性がこう答えるのも仕方がない。その売り場には、現地(欧州)メーカーの製品に加えて、韓国のサムスンやLG、そして中国ハイアールの製品が並んでいる。白モノといえば、パナソニックは20年ほど前から電子レンジや掃除機などをほそぼそと販売している程度だった。そもそも韓国や中国メーカーが欧州市場だけでなく、中国、インド、ロシアなどへ先に進出し成功を収めているのに、なぜ、同社は出遅れたのだろうか。この点について、技術本部本部長でもあるホームアプライアンス社の石王治之副社長は、次のように説明する。
「日本の会社ということもあり、日本市場向け商品をつくってきたのですが、欧州市場で売られている製品とは機能的に異なり開発負荷がかかるという問題があったからです。たとえば洗濯機を例にすると、水に恵まれた日本では水流を回して洗うパルセーター式が中心ですが、水が貴重な資源である欧州では比較的少ない水で時間をかけて洗うドラム式が主流でした」
パルセーター式ではなく「ななめドラム」洗濯機を日本で発売し欧州仕様に近づいていったのは、環境に配慮し省エネ、節水性能を高めようとしただけなく「世界標準」に基づく商品で打って出ようと考えたからである。
「(成長市場の)中国は欧州に目が向いています。冷蔵庫や洗濯機も欧州仕様が多い。必然的に世界標準的な商品が増えてきたわけです。欧州というのは一番基本の市場です。欧州で通用すれば他の地域でも、当然やっていける力がつくと思っています」(石王副社長)