Mリーグの最高顧問は、JリーグやBリーグを立ち上げた川淵三郎さんです。私はMリーグを立ち上げて自らチェアマンに就任しましたが、難しい各団体の交渉やゼロからレギュレーションを作る際に、「Jリーグの川淵キャプテンのような人がいれば」といつも思っていました。

そんなタイミングで、人を通じて川淵さんとゴルフをしないかというお誘いを受けました。

ラウンド中、私がMリーグ構想の話をしていると、川淵さんが「いまは週に1度地元の人と麻雀を打っている。通算成績をつけているんだけど、それが一番の楽しみだ」「麻雀が大好きだ」と仰いました。それを聞いて、正直に言うと、私の頭の中はゴルフそっちのけで、どう頼もうかとばかりぐるぐる考えていました。

ラウンドが終わったところで思い切って「Mリーグの最高顧問に就任してもらえませんでしょうか?」とお願いしました。そしたらその場で快諾。夢のようでした。

おそらくは長年付き合いのあるテレビ朝日や他の企業がすでに賛同していたことで信用してもらえたのだと思います。そのとき、絶対に期待を裏切ることはできないと、また気持ちを強くしました。

金を賭けない麻雀こそ熱く盛り上がる

みんなが本気で真剣に打つ麻雀大会は、アマチュアの大会であっても大変盛り上がります。

サイバーエージェント代表取締役社長 藤田 晋氏

麻雀はお金を賭けないと真剣にやらないのでは? と思っている人がいたら、1度大会を開いて総合スコアをランキング形式で発表してみてください。営業成績が壁に張り出されるような誇らしさと気恥ずかしさがありますよ。

結果が可視化されて自分の順位が判明すると、1順位でも上に上がりたいし、1ポイントも減らしたくない気持ちになり誰もが麻雀に本気で取り組めます。

また、大会が終わった後の打ち上げなどの懇親会は大変盛り上がります。麻雀中は私語を発することはほとんどなく集中しているので、終わった後、あの場面は自分の手牌はどうだったと種明かししながらお酒を飲むのは楽しいものです。我々サイバーエージェントは、たくさんの企業と麻雀の対抗戦を通じて親しくなり、そんなつもりではなくても結果的に仕事に繋がったこともあります。

Mリーグでも、プロアマ戦を開催し、関係者やスポンサー企業を招いた麻雀大会を開催しています。これはプロゴルフのツアー大会直前に行うプロアマ戦と同様に盛り上がります。実力差のあるプロと、1回の勝負では勝ったり負けたりするのも麻雀の醍醐味です。

参加した方の満足度は高く、ほとんどの人がまた出場したいと仰います。これはプロアマ戦が企業の大事なお取引先を招いて接待する場としても十分有意義であると証明できていると思います。

ひと昔前は「接待麻雀」なんていう言葉がありましたが、この言葉のニュアンスだと、わざと勝たせるような印象があるかもしれません。しかし、本当は誰もが真剣に打つ麻雀にこそ、接待においても素晴らしい価値があるものなのです。

(構成=プレジデント編集部 撮影=泉 三郎)
【関連記事】
サイバーエージェント藤田晋社長「麻雀も仕事も人生も、運7実力3」
"会社に使われるだけの人"に共通する欠点
日本人特有の雨ニモマケズ軍隊通勤では労働生産性は上がらない
「コロナ不況」で真っ先にリストラされる人の条件
なぜか「いつも誰かに助けてもらえる人」に共通する3つの行動