成長する企業はどこが違うのか。サイバーエージェントの藤田晋会長は「社内の『空気感』には常に目を光らせてきた。ネガティブな空気が蔓延すれば、経営は強く足を引っ張られることになる」という――。

※本稿は、藤田晋『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。

サイバーエージェント創業者の藤田晋会長
写真提供=文藝春秋
サイバーエージェント創業者の藤田晋会長

青学なのに「芋っぽく」見えた女子学生

〈1993 恋をした oh 君に夢中 普通の女と思っていたけど Love 人違い oh そうじゃないよ〉(class「夏の日の1993」作詞:松本一起、作曲:佐藤健、編曲:十川知司)

バイトをしていた雀荘の有線放送からいつもこの曲が流れていた1993年の夏の日、正社員の先輩から、「お前はいいよな、大学に行けば可愛い女の子いっぱいいるんだろ?」と言われた。それが、私にはどうもピンと来なかった。

なぜなら、学校に行ってキャンパスを見渡してみても、化粧もろくにしないでジャージみたいな服を着ている女子学生ばかりだったから。私は神奈川県の本厚木にある「森の里」という、駅からバスに乗り換え、更に30分も行った先にある、自然に囲まれた青山学院の教養キャンパス(現在は移転済み)に通っていた。都心の学校に通う女子と比較すると、当時の私には芋っぽく見えていた。

人は、環境や周囲の人間に影響を受ける

ところが、である。3年生に進級し、ようやく大学名の通り青山キャンパスに通うようになったある日のこと、私はひとり学食に座り、何気なく行き交う人たちを眺めていて驚いた。キョロキョロと目移りしてしまうほど、美女がたくさんいたのだ。なんでなんだろう。いや、考えるまでもない。登場人物は同じはずである。

森の里に通っていた頃は、同じ人でも見た目から中身まで田舎テイストになるし、表参道にあるキャンパスに通っていれば、洗練された街並みに合わせて、人も洗練されていくのだろう。街ゆくおしゃれな人々から影響を受けていると言ってもいい。それは私含め、男子も同じであった。

ちなみに私は3年生になる前に一度留年しているが、大学にいた数少ない友人たちもまた、一人を除いて全員留年していた。授業をサボってばかりの我々が、互いにこいつよりマシだと悪影響を与え合っていたのは間違いない。

これらが私の原体験だったと思う。その後、経営者となってから、「人は、置かれた環境や周囲の人間に強く影響を受ける」ということを随所において強く意識するようになった。