シェア70倍の秘密は「USPの発見」と「発想の転換」だった
今はオール電化住宅といえば、地域によっては新築住宅のシェア70%を超えるほどの「売れる商品」です。しかし、私が営業にかかわり始めた17年前のシェアはわずか1%。電気クッキングヒーター1つとっても「高すぎる」「火がない調理器など売れるはずがない」と言われ、まさに「売りにくい商品」と見られていました。そのうえ、担当チームは私以外、営業の初心者ばかり。逆風下の営業活動でした。
毎日、声をからしてPRしても、お客様たちは商品の前を素通りしていきます。しかし、あるとき、電気クッキングヒーターの実演を見ていたお客様の、「これ、火力が強くてお湯がぱっと沸くのね!」「ゴトクがなくて、さっと一拭きでお手入れが簡単でいいわ!」という言葉から、それまで気づかなかった商品の強みを見出し、これを前面に押し出すようになってからは、デモンストレーションでも人垣ができるほどになったのです。
売り手側からは見えない、買い手の視点を訴求するだけで、営業の流れが180度変わりました。この電気クッキングヒーターが起爆剤となり、オール電化住宅は急速に普及。売れない商品も、1つのきっかけでこんなにも売れるようになるものなのです。
私はそれ以前も、人材派遣会社で現場に派遣する営業担当者のトレーナーをしていました。派遣会社に持ち込まれる商品は「売れない」「売りにくい」商品ばかりです。それでもスタッフを2、3日で即戦力に育てて現場に出し、実績を上げなくてはなりませんでした。
では、この不況期に売れないものでも売れるチームをつくるために、マネジャーは何をすればいいのでしょうか。