最初に、マネジャー側の意識改革が必要です。これまで営業という分野は、システマティックに人を育てる仕組みがなく、根性論が幅を利かせてきました。しかし時代は変化し、お客様も変わっています。これまでのやり方では売れませんし、気合や根性だけではマネジャーは務まりません。

部下を育てるには、まずは世代間ギャップを認識すべきです。営業の世界はとくに世代間の葛藤が強いようです。新人の髪形を見て「清潔感がない」と怒る人も多いですが、「清潔感のある髪形」も時代とともに変わります。怒っているマネジャーを見ると、たいがい自分が一番成績を上げていた時代のままの髪形をしています。

同様に、自分が成績を上げていたときの営業手法が、今も通じるわけではありません。「夜遅く、お客様先からライバル社の車がいなくなってから、ダメ押しの訪問をしろ」と、いまだに「夜討ち・朝駆け」の営業を強いるマネジャーもいます。しかし、朝晩通ってくる営業マンに情にほだされて契約するお客様は減っており、根性よりも提案力や知識を求めています。また、自分のペースを乱される訪問やアプローチを嫌う人も増えています。営業マンは、本来、お客様の気持ちや、世相、トレンドに敏感でなくてはならないのに、これでは本末転倒なのです。

自分と部下が違う、時代は変わっているということが認識できたうえで、次にすべきは、フレームづくりです。

売れない営業チームは、「今日は売れた」「今日は売れなかった」に終始する、その日暮らし型営業になっています。売れない日には「なぜ売れなかったか」を分析し、経験や知識を蓄積、共有するという仕組みができていません。

一方、売れる営業チームは蓄積型営業と言えます。種をまいて水や肥料をやり、育てて実を収穫し、来年に向けてまた種をまく。初回面談、商品紹介、お見積もり、問題解決、クロージング(決断を促す)などの「営業フロー」を意識できているのです。