また、最近ではコストにシビアなお客様が多いので「うちの商品は高いから売れない」というメンタルブロックを持つ営業マンもたくさんいます。しかし、自分の財布とお客様の財布は違います。お客様の価値観に合うものを提案すれば売れるのです。

もちろん、価格にしか興味がないお客様もいらっしゃいます。そこに高額な商品をお持ちしても売れません。USPを分析し、ターゲットを見極めて、そこに自信を持って提案すべきです。

また、売れない営業マンは商品ラインナップのうち安いものしか出さず、高いものは売れるはずがないなどと思っています。売れる営業マンは高いものから提案します。USPを理解し、商品のファンであれば自信を持って営業できますから、腹をくくって高い商品から提案できるのです。また、お客様には、最初から「最大パッケージ」を示しておくことも重要です。例えば、「パソコンが欲しい」というお客様に対して「プリンターやデジカメがあればもっと楽しく便利になる」ことを最初から伝えておきます。つまり、最終ゴールが「プリンターやデジカメも含めた最大パッケージ」になる。「パソコンを買って終わり」ではなく、継続してお客様になってもらえるのです。

先日、ある販売チャネルで一番成績を上げている会社を訪問しました。もともと技術系の人が多く、営業体質の会社ではありませんし、すごい営業スキルを持つ人がいるわけでもありません。「なぜこんなに売れるんでしょうか」と聞いたところ、フレームづくりをしっかり行い、それをコツコツまじめに実行しているだけだというのです。

営業には特別なセンスやスキルが必要なわけではありません。最近は技術系の人が配置転換で営業に来ることも多いのですが、そういった人向けの研修では、私はまず「皆さん、おめでとうございます」で始めます。営業は、楽しく自己実現できる部署ですから。

もちろん、最初は皆さん営業に苦手意識を持っています。でも、仕組みをつくって、メンタルブロックを解消してやれば売れるようになる。それができるかどうかは営業マネジャーにかかっているのです。

(構成=大井明子)