売れないというメンタルブロックをいかにはずすか
これらの仕組みを定着させるにはエネルギーが必要です。「なぜやるのか」を個々が納得できなければ定着しません。「あなたが攻略したいお客様を、どうしたら落とせるか考えよう」と、「部下自身のための会議」だと、納得してもらわなくてはなりません。
そのために、マネジャーは、日々、部下と真剣に向き合い、部下同士の、あるいは自分と部下の「違い」を「個性」と認め、ひとりの人間として互いに信頼や尊敬できる関係づくりをしておかなくてはならないのです。
この仕組みが定着すると、日々の経験や知識が蓄積され、共有できるようになります。すると、さまざまな営業活動が数値化できるようになります。例えば、「過去の実績から見て、『初回面談』をしたお客様数の約10%が契約に達する」などです。それが見えると、何をどれくらいやればどんな成果があるかわかり、「いくら頑張っても成果が出ないのでは」という不安がなくなります。営業未経験者も、何をどうすれば成果が上がるかが目に見えるようになり安心して頑張れるようになるはずです。
営業マネジャーの役割は、これまで述べてきたような仕組みをつくり、「言語化しにくい」「見えにくい」といわれていた営業を見える化して、何をすればどうなるか、全体のフローのなかで今何をすべきかを適切にガイドすることなのです。
仕組みづくりと同じく重要なのが、「売れない」というメンタルブロックを外すことです。売れない営業マンは、売れないと思い込んでいる傾向があります。私はいつも、「まず自分が商品のファンになれ」と言っています。商品に対して思い入れがなければ、せっかくのUSPがお客様に伝わりません。セールストークも、口先だけに聞こえてしまいます。そのためには、まず、可能な限り営業マン自身が自社商品を使うこと。自分が使えば、お客様に実感や体感を訴求することができますし、実際に使えば意外な発見もあるものです。そして、何より説得力が増します。営業マンの中には、他社商品を使っている人もありますが、これでは商品は売れるわけがありません。