絶体絶命の欠点がセールスポイントにもなる

一見「欠点」に見えるものが、あるお客様にとってはセールスポイントになることもあります。私が派遣スタッフとして、大きな展示会で浄水器の販売を担当したときのことです。担当する浄水器は競合より機能が少なくて大きく、高額……という絶体絶命の事態に、私はやる気をなくしかけていました。しかし一人の高齢のお客様が近付き、「この商品が一番好きだ」とおっしゃるのです。なぜかと聞くと、「機能が少ないし大きい」から「使い方がわかりやすい」、「高い」から「それだけ安心」だというのです。お客様の価値観は十人十色ですから、セールスポイントが欠点になったり、逆に欠点がセールスポイントにもなる。そういった発想も持ちながら、商品のUSPを探してください。そして、それらをチームで共有化し、ファイル化しておき、定期的にチームで見直しをかけてブラッシュアップすれば、営業ナレッジをチーム内で平均化・標準化することができます。

「売れる営業フロー」を構築するために必要なのが、商談の進捗状況の把握やプロセス管理です。多くの企業では、SFA(sales force automation)や商談シートで営業マン個々の商談を管理しています。

しかし、実際には「今月は契約が少ないじゃないか。もっと頑張れ」と商談の「プロセス管理」ではなく、「結果」管理になっていることが多いもの。マネジャーは、それぞれの商談がフローのどの段階にあり、次の段階に進むために何が必要か、何が壁になっているかを考えて行動するよう、うまくガイドしなくてはならないのです。

また、チームの営業会議は、「目標値の達成状況報告・確認」や「叱咤激励」のためのものではありません。各自が抱える案件を持ち寄り、不満や不安をすべて出し、そのうえで一人ひとり何ができるか考えるものです。もしかしたらほかの人が、誰かの課題について解決策やアイデアを持っているかもしれません。ベテランやトップの営業マンの中には、自分のノウハウを抱え込んで共有しない人もいますが、そこはマネジャーがうまく意見を引き出す必要があります。「ここはベテランの○○さんなら、いいアイデアがあるかもしれませんね。○○さん、どうでしょう?」などとうまく促しましょう。情報を共有し、チーム全体で成果を上げようという雰囲気がないとチームの成績は伸びません。