深刻さ増す韓国経済の体力低下

この状況下、韓国経済にはかなりのマイナスの影響が予想される。輸出、生産活動、個人消費の点から、新型肺炎が韓国経済に与える影響を考えると、いかに事態が深刻か確認することができる。

まず、韓国の経済成長を支えてきた輸出には、再度ブレーキがかかりはじめている。2月、1日当たりの韓国の輸出額は約11%減少した。1日当たりの対中輸出額は、約21%減と落ち込み方が著しい。

中国では新型肺炎によって、生産活動や企業の店舗運営などに加え、内需も冷え込みはじめている。中国本土で企業や投資会社などの資金繰りがひっ迫し、不動産バブルが崩壊するリスクも排除できない。もし、新型肺炎が景気を減速させる中で不動産バブルへの懸念が高まるなどすれば、中国の経済はかなりの混乱に直面し、韓国からの輸出はさらに減少するだろう。

また、新型肺炎は韓国の生産活動に急ブレーキをかけている。モノが生産できなければ、収益を得ることはできない。2月に入り、韓国では中国からの部品調達が困難になる企業が出はじめた。さらに、韓国でも急速に感染が広がっている。2月上旬、中国からの部品調達が困難になり国内生産を一時停止した現代自動車では従業員の感染が確認された。同社は蔚山(ウルサン)工場にてSUVなど主力車種の生産ラインの稼働を止めざるを得なくなった。

サムスンは新型スマホの工場の稼働を一時停止

サムスン電子では、新型スマホ「ギャラクシー ゼット フリップ」を生産する亀尾(クミ)市の工場にて感染者が出たため、工場の稼働を一時停止せざるを得なくなった。文政権の感染対策への不安から、米国などは韓国への渡航中止を勧告している。韓国における生産活動がさらに混乱する可能性は軽視できない。

その状況が続くと、韓国では企業業績への懸念が高まり、個人消費が一段と冷え込むと想定される。近年、韓国の所得・雇用環境は、文政権の経済運営の失敗によって不安定化している。新型肺炎はその状況に追い打ちをかけているといえる。個人消費を中心に韓国の内需は縮小に向かう可能性が高まっている。

景気減速などへの懸念から、韓国からは資金が流出しはじめている。これは韓国の経済・社会を揺るがす恐れがある。

韓国経済の特徴の一つに、内需は厚みを欠き、輸出依存度が高いことがある。輸出の3割が香港を含む中国向けだ。その分、韓国経済は米中を中心とするグローバルな景況感の変化に大きく影響される。

過去、世界経済が大きく混乱すると、韓国の金融環境は急速に不安定化し、ドル不足に陥った。1997年のアジア通貨危機や2008年のリーマンショックの際、韓国が日米などからの資金支援を受けたことは良い例だ。