わが社の商品やサービスをほしがっている人々が、どこかに必ずいるはずである。でも、どこにいるんだろう? どうやって探せばいいんだろう? コストをかけずに効率よくアプローチしたい。そんなときは、インターネットを使った口コミマーケティングをやってみよう。
誰に聞けば重要な商品情報を得られるのか
マス広告ほどのコストをかけずに、ほしがっている顧客に着実に商品を購入してもらう手法として口コミマーケティングがある。私たちが手がけた、ある海外ファッションブランドの認知度を上げるために行った口コミマーケティングの結果が表1である。インターネットのユーチューブとアメーバビジョンに動画を流し、同時にアルファ・ブロガー(多数の読者がついていて、大きな影響力を持つブログの書き手)にブランドに関する記事を書いてもらった。ブロガーには一切謝礼を出さず、ブロガー自身にそのブランドを着てもらい、本当によいと思ったら記事にしてもらう条件をつけた。
口コミマーケティングを展開する前は、ファッションに興味を持つ人にすらあまり知られていなかったブランドが、3カ月のマーケティング活動の結果、認知度がおよそ5倍に上がった。キャンペーン終了後も、動画はインターネットで流れ続けており、アルファ・ブロガーの記事も健在であり、認知度は9倍に上昇している。
インターネットを使うこのような手法は、口コミマーケティングのほんの一部である。しかし、一度インターネットに流した情報は長期にわたって残っていること、さらに動画やブログへのアクセス回数がわかることから(今回のキャンペーンでは動画へのアクセス数は1万2000)、広告効果が測定できてインターネットの持つ強みを実感できた。
とくに、SNS(Social Networking Service:社会的ネットワークを構築できるサービスやサイト)は口コミマーケティングには必須の存在である。ミクシィをはじめとするSNSでは、ファッションに対して興味、価値観、使命感などを共有する多数の集団が形成されている。この集団が、自然と消費者をセグメント(区分)する形になっていて、マーケティングが展開しやすい。
たとえば今回のようなファッションブランドの認知度を上げるキャンペーンを行う場合、20代前半の女性であれば、オシャレ度の高い大学のサークルや美容師・ダンサーなどファッション感度の高い人々からの情報収集、神戸コレクションをはじめとするサイトのチェックなどを通して対象を絞り込む。SNSにはファッションに興味を持つ人たちだけが集まるコミュニティが存在する。