PANA=写真
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住生活グループ代表取締役会長 潮田洋一郎(うしおだ・よういちろう)
1953年、東京都生まれ。77年、東京大学卒業後、トーヨーサッシ(現住生活グループ)入社。常務取締役、取締役副社長などを経て2006年から現職。モータースポーツ、茶道、小唄、長唄など多芸の趣味人でもある。


 

風雲児という言葉がぴったり当てはまる。住宅設備機器最大手の住生活グループを率いる潮田洋一郎会長だ。アルミサッシ製造国内シェアトップのトステム創業家の出身で、INAXと経営統合して住生活グループに社名変更(2004年)後の06年に、父の健次郎氏から会長職を継いだ。

06年といえば、耐震強度偽装問題による建築基準法改正で、住宅関連企業は揃って経営危機に陥った時期だ。新会長になったばかりの潮田氏は、これをチャンスとして積極的な経営拡大策に打って出て、関連業種の企業を次々に買収して傘下に収めていった。

08年以降の世界経済危機では、拡大路線を海外に伸ばす。昨年6月には衛生陶器大手のアメリカンスタンダードのアジア部門を買収。今年9月には、中国家電大手ハイアールとも提携して新興国進出の足掛かりをつくった。

そんな潮田氏が、プロ野球・横浜ベイスターズの買収に名乗りを上げて注目された。球団大株主のTBS側からの働きかけに、グループ共通の新ブランド「LIXIL(リクシル)」の知名度アップを狙って応じたものの、条件面で折り合わず交渉は打ち切りになった。しかし、この間、同社の露出度は一気に急上昇。同社はスポーツ協賛には以前から熱心で、再び社名が取りざたされる日が来るはずだ。

1300ccの大型バイクを乗り回す豪傑。会長職に就く前、当時の会長だった父親に引退勧告して返り討ちにあい、役員の座を降りたこともある。

半面、前JFEホールディングス社長の數土文夫氏、元三洋電機社長の井植敏雅氏などを、暴走する自分のストッパーとして人材登用する細心さも併せ持つ。大不況で身を縮める経営者が多いなか、潮田氏のような経営者が次の時代を切り拓く。

(PANA=写真)