育児休業を取得した男性のうち、ほとんど育児をしない「とるだけ育休」はなぜ起こるのか。働き方評論家で1児の父でもある常見陽平氏は、「形式的に数日間休みをとっても意味は薄い。自分は育児のために、育休はとらなかったが、勇気を持って仕事を減らした」という――。
愛娘と東京スカイツリーにて
写真=筆者撮影
愛娘と東京スカイツリーにて

育休男性の約半数が「3時間以下」しか育児をしていない

今、わが国の大きな問題は「とるだけ育休」である。

ママ向けアプリ「ママリ」を提供しているコネヒト株式会社が、夫(パートナー)が育休を取得したママ508名に対して行った調査によると、育休を取得した夫(パートナー)の家事および育児にかける時間は1日あたり1時間以下が17.7%、1時間超2時間以下が14.6%だった。2時間超3時間以下の15.2%と合わせると、約半数が3時間以下だった。

同調査によると、「今後、夫(パートナー)に育休を取得してほしいと思いますか」という質問に対して「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」が47.5%という結果になった。半数程度が「夫(パートナー)に育休取得をしてほしいとは思わない」と回答している。

2018年の男性の育児休業取得者の割合は、6.16%である。2%程度だった2010年代前半と比べると上昇しているものの、女性の82.2%に対しては大きく差がついている。

男性の育休取得率は低い上に、取得期間は2週間以内がほとんどである。2015年の厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、育児休業の取得期間は、女性は9割近くが6カ月以上となっている一方、男性は、5日未満が56.9%、8割以上が1カ月未満となっている。